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ニュー・サービス・マネジメントの展望

ニュー・サービス・マネジメントの展望

“関係性重視”のマーケティング・マネジメントがwith/postコロナ時代を救う


昨年までの観光ブームから打って変わり,コロナ禍においてホテル,レストラン業界は大きな試練を迎えています。しかし,この困難を,真に強い業界へと飛躍するための貴重な機会と捉え,適切な現状分析を行い,今後の戦略を明示することが重要です。

すなわち,観光ブームを前提とした市場拡大主義から市場深耕=顧客との関係性重視への戦略転換が求められていることを,理解する必要があります。

直感的に表現するならば,皆さんのホテルやレストランを利用する顧客がanybody(顔が見えない不特定多数)ではなく,somebody(互いに認知し合っている人)にしていくことが持続的な経営のカギになるのです。市場が成熟し,先進国のGDPの7~8割がサービス業化し,多くの競合がひしめく環境下において,生き残る企業になるためには,自社の顧客の価値観を知り,顧客がこうしたい,こうなりたいという願いの実現に向けて,企業が持てる経営資源を駆使してサポートする姿勢が求められます。そうすることで,顧客に“選ばれる”ことを実現するのです。

コトラーやドラッカーなど,米国発のマネジメントが重用されてきましたが,これは,製造業のマーケティング概念が基礎となっているため,無形財であるサービスには応用することが難しい。私は,with/afterコロナの企業経営には,クリスチャン・グルンルースをはじめとする北欧学派のサービス・マネジメント手法が最も適していると感じています。彼らは,サービスは“交換”する対象にはなりえず,あらかじめ生産しておくこともできず,顧客のその時々の志向や嗜好,経験値,価値観に応じて,即興的に対応するものであるから,顧客との長期的な関係性を重視するマーケティングを志向するべきだと主張しています。

このコンセプトは,コロナ禍においてこそ,応用するべきです。“三密”を回避するということは,レストランならば座席を減らす,ホテルならば販売客室数を減らす等の対応が必要となり,それは施設の1平米あたりの収益の低下を意味します。この状況下でも企業の持続的な成長を実現するためには,消費額を向上させる必要があります。収益=客数×単価ですから,動員が見込めないならば単価を引き上げるしかない。シンプルです。しかし問題は,それをどのように実現するかです。「海外と比較して日本のホテルやサービスの価格設定が安いから,もっと高く売るべきだ」とする風潮がありますが,サービスの内容や品質を変えずに,金額だけを引き上げる行為は,企業倫理上,疑問視されるばかりか,そのサービスを一度利用した人がいたとしても,その人をsomebodyとしての顧客として獲得し,維持し,育成することは不可能でしょう。また,たとえ,高価格である理由を説明できるような商品サービスであったとしても,企業が売りたいものを作って売る,という行為は,前述のとおり,残念ながら時代遅れとなりつつあるのです。

そこで有効なのが,できれば生涯を通じて,長いお付き合いをしてくださる顧客を獲得し,維持し,育成することで,総合消費額を蓄積していくという戦略なのです。

実はこれは目新しいものではなく,私たち日本人が継承してきた日本独自の商道に通じるものがあります。それを科学的に分析し,実践していくことで,この困難を乗り越えていけると実感しています。

#マーケティング, #北欧学派, #サービス・マネジメント, #関係性マーケティング

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