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​ニュー・サービス・マネジメントの展望

“関係性重視”のマーケティング・マネジメント

コロナ禍を乗り越え,観光需要が再び追い風となっている今,経営者の多くが人的資本の質的,量的不足に悩んでいますが,この現状を真に強い業界へと飛躍するための貴重な機会と捉え,適切な現状分析を行うことが重要です。今後有効となる戦略は「市場拡大主義」から「市場深耕」すなわち顧客との関係性重視への転換にあると言えるでしょう。

それでは私たちは具体的に何をするべきなのでしょうか。

直感的に表現するならば,皆さんのホテルやレストランを利用する顧客がanybody(顔が見えない不特定多数)ではなく,somebody(互いに認知し合っている人)にしていくことが持続的な経営のカギになります。市場が成熟し,多くの競合がひしめく環境下において生き残る企業になるためには,自社の顧客の価値観を知り,顧客がこうしたい,こうなりたいという願いの実現に向けて,企業が持てる経営資源を駆使してサポートする姿勢が求められます。そうすることで,顧客に“選ばれる”ことを実現するのです。

“三密”を回避するということは,レストランならば座席を減らす,ホテルならば販売客室数を減らす等の対応が必要となり,それは施設の1平米あたりの収益の低下を意味します。この状況下でも企業の持続的な成長を実現するためには,消費額を向上させる必要があります。収益=客数×単価ですから,動員が見込めないならば単価を引き上げるしかない。シンプルです。しかし問題は,「海外と比較して日本のホテルやサービスの価格設定が安いから,もっと高く売るべきだ」とする風潮を受けて,サービスの内容や品質を変えずに,金額だけを引き上げる行為です。それは企業倫理上,疑問視されるばかりか,顧客の獲得・維持・育成することは不可能でしょう。また,たとえ,高価格である理由を説明できるような商品サービスであったとしても,企業が売りたいものを作って売る,という行為は,残念ながら時代遅れとなりつつあるのです。

そこで有効なのが,できれば生涯を通じて,長いお付き合いをしてくださる顧客を大切にして,総合消費額を蓄積していくという戦略なのです。実はこれは目新しいものではなく,私たち日本人が継承してきた日本独自の商道に通じるものがあります。それを科学的に分析し,実践していくことで,この困難を乗り越えていけると実感しています。

PGHエンタープライズ株式会社

代表取締​役社長 窪山 哲雄

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