投稿日: 2018年5月30日
2017年の訪日観光客が2,800万人を超え(観光庁2018年1月発表)、ホテル観光産業は今、空前のブームを迎えています。日本政府は2020年までに4,000万人という目標を掲げ、宿泊施設の新設も活性化しています。アジアを中心とした中間所得層の堅調な成長に支えられ、東京オリンピック終了後も、引き続き、追い風が予想されます。
しかし問題が無いわけではありません。むしろ、より高度なマーケティング戦略とその実践が求められる事態になりつつあることを指摘しなくてはなりません。
その問題とは、宿泊施設のコモディティ化(一般化・陳腐化)と顧客の経験価値の上昇とのギャップによる、需要と供給のミスマッチです。
現在、新設が進んでいるホテルは、宿泊に特化したホテルが多いですが、この業態はレストランなどの付帯施設が極端に少ないことから、個々のホテルのオリジナリティを表現するのが難しいため、需要と供給次第では、価格の変動が大きくなる傾向にあります。
現在のような追い風がやんでしまうと低価格競争に陥るため、安定的な経営を阻害する要因になるのです。更に、民泊施設やゲストハウス等の増加によって、より価格の安い施設へのマーケット流入が顕著になっており、価格競争が激化することも予想されます。
この状況では、投資額の大きなビジネスホテルなどの宿泊特化型ホテルは特に苦しい状況に陥り、最悪の場合、倒産する可能性があると考えられます。
それを回避するためには、コモディティ化を脱しうる、高付加価値戦略への転換が必須です。これが実現できると販売価格の上昇による労働生産性の向上、観光産業の実質的な活性化につながることが期待できるからです。(2)に続く
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